厄切り神社『神場山神社』

人生行動記

今年は、元旦からとんでもない年だった———自分自身というよりは、あんなに大きな地震起きたりしたからだ。

だが、自分もその数ヶ月後に車をぶつけてしまう。

他にも小さなことかもしれないが、きついことがあり、何人かに厄落としをしてきたらいいと言われた。その中の1人には、厄切り神社なるものを教えてもらったので、行ってみることにした。

スカイダイビング体験に一緒に行った、UとIとAと自分Cの4人で行くこととなった。

自分が今回目指した厄切り神社は、静岡県にあるもので、『神場山神社』というところだ。正式名称は『山神社』と言うらしい。

 Uが運転する車の助手席で、自分は外を眺めていた。時折、誰かと適当なことを話す。基本的には、Uの携帯を通じて、車のスピーカーから流れてくる音楽を聴いていた。

「あ、自衛隊の車だ。お疲れ様です!」

高速道路を走っているときに、Uがそう言った。自分はその言葉に反応をした。

右側を見ると、何台かの自衛隊の車が走っている。

 トラックの後ろに何か別のものがついていて、タイヤ付きのそれは、車輪が4つついているが、トラックよりは小さく、人が乗れる仕様になっていない。何かの荷物を持って行っていると言った感じだろうと思った。

「あれ、ご飯つくるやつとかだよ。自衛隊のご飯は凄い美味しいらしい」

 なるほど、何処かに訓練へでも行く最中なのかもしれない。だから、調理器具や食材も持っていくのだろう。

 しかし、Uはこういうことを本当によく知っている。それとは関係ないが、Uは物理学専攻で、バリバリの理系だ。自分は理系ではないけど、物理学とかの理論とかは少し興味がある。まあ、本当に簡単なレベルの理論の本を読むくらいに留まるけど。

「何で、そんなことまで知ってんの?」

 何気に自分はUに言ってみた。

「政治や経済を知るには、軍事のことも知らないとって思って」

「なるほど」

 確かに一理あるというか、自分もそう思う。でも、Uは雑学的なことをよく知っている。

「あ、あの人たち第1空挺部隊だ! めちゃくちゃ優秀な人たちだよ。この前やったスカイダイビングとかもやる人だ」

「えっ⁉ そうなの? スカイダイビングもやるなんて凄いな。何で分かった?」

「だって、車に書いてあるから」

 Uにそう言われて、自衛隊の車を見てみると、確かにそう書いてあった。

「でも、あの人たちは有事のときに、真っ先に行く可能性が高い。パラシュート部隊だからね」

 Uにそう言われて、頭の中でイメージが湧いてきた。確かに、偵察的なこととか、その他の要素から、そうなる可能性が高いだろうと自分にも分かった。

 世界では、大概どこかで戦争とかが行われている。でも、この日本にいると、どうしても遠い話になってしまう。だけど、隣を走っている自衛隊の車を見て、車の中にいる隊員の顔も少し見えて、急に胸に苦しさを感じた。

 彼らが、実際の戦争に駆り出されなければいい………そんな状況に、この国が陥らなければいい。でも、この先の未来は分からない。怪しい雲行きが全くないわけではない。

 人間は、常に争いながら生きているけれど、自分ではどうすることもできない力で苦しめられるような状況は、世界中どこでも起きていなければいい————そう願ってしまうが、そこは空しさで埋められていく。

 途中、渋滞にも巻き込まれたが、午前中のうちに神社に到着することができた。

 車を結構大きな駐車場に止めて、皆で外へ出た。すぐ近くに案内板があった。

「結構寒い!」Iが言った。

「まだ、午前中だからね。でも、午前中に到着できて良かった」自分が言う。

「何で午前中に到着できて良かったの?」Aが自分に質問してきた。

 自分は、階段を下りながらAに答える。

「神社へのお参りは、本当は午前中の方がいいらしいよ。少なくとも、昼間に終わらせるべきだ」

「そういうもん?」Aは不思議そうな顔をする。

「暗くなると、神社は別の顔を持つからね」

「どういうこと?」今度はIが質問してきた。

「昼間と夜とでは、神社は雰囲気が変わるってことかな」

「でも、お参りの時間は夕方くらいまでってネットに、載っているけど」

「確かにね。だから、神社を管理している人たち的には、その時間でもいいってことなんじゃないの?」Iの質問に、自分は言った。

 階段を下りていくと、この神社の御神木である『よろこぶの木』が下にはあった。

 この『こぶ』を3回なでて、自分の病気の部分などをその手でなでると、平癒へ導かれるということらしい。

 さっそくAがなではじめたので、自分も一緒になでてみた。

「えっ? でも、自分のどこをなでる?」

 Aにとくに悪いところはないみたいで、Aは最近できた吹き出物をなでていた。

「すごい広くて綺麗なところだ」

 Iは辺りを見回している。

「確かに。手入れがよくされているし、なんだか神秘的な感じだ」

先へ進むと、本殿らしきものへと続いていた。

自分は、そこでお賽銭を投げ入れて、お参りをした。

「とんでもないことで苦しむ人が減りますように。そういう世の中の厄が、切れますように。あと、もう事故りませんように」

 せっかくの厄切り神社。悪い厄を落としに来たから、そんなことを願った。しかし、あとの3人は、誰かが書いたたくさんの絵馬を読んでいた。

お参りを終えた自分に、Uが言ってきた。

「ちょっと、かなりやばいのがあった。すごい怖いから、見ない方がいいかもだけど」

「え⁉ 何? 何?」

 自分は、元来好奇心旺盛な方だ。そう言われて、見ない訳にはいかない。

 Uに誘導されて見たその絵馬は、本当に半端なかった。

 まず、1つ目は、黒のペンで書かれていて、数人のフルネームと住所が書かれていた。そして、呪われろと…………。

「ね、やばいでしょ! でも、これの方がもっと怖い」

 誰かへの呪いを、しかもフルネームや住所まで書いたものを、いつ誰が見るかもわからない絵馬に書き記したその精神………十分すぎるくらい怖い。

「てか、これ既にやばいよ。住所まで丁寧に書いて、あり得ない」

 と、言いつつも、自分はUが言う、そのもっとやばいやつへと近づく。

 その絵馬は、表側にむけられていた。初めからそうなっていたのか、Uたちが読んだ後に表へと向けたのか分からない。

そして、10センチくらいの紺色の布が——ー絵馬の紐の部分につけられていた。その絵馬は他の絵馬と一緒に同じ場所につるされている。

 自分は、その絵馬を裏返してみた——————まず、赤いペンの色を認識したと思う。そして、その赤い色で書かれていたのは、『死』や『呪い』だった。

「うわ!!」

 自分は、すぐにそれをまた表面へとひっくり返した。

 明らかに、誰かを呪っているものだ。赤い文字は、大きさや書いている場所の統一感がなく、余計に怖さが引き立っていた。

「これ、布は呪いたい相手のものだよね」Uが、少し顔をしかめながら言った。

「そうだと思う………人を呪わば穴二つと言うのに、こんな風にしなければいけないほど、誰かを憎むって、本当にきつい………」

 その布にも、手が触れてしまったので、自分とUはとりあえず手を洗った。

 絵馬を見るまでは、清々しい気持ちだった。厄切りだけど、みんなきつい何かから解放されて、少し楽になって………とか思っていた。それ以上に、自分はこの神社に、怖さでなく、神秘的な雰囲気を感じていたから。

 すごく怖いが、本当に痛ましいとも思った。

 気を取り直し、あとの3人もお参りをしてから、皆でおみくじを引いてみた。皆割といいことが書いてあった。

 自分のも前向きになれるようなことが書いてあった。

 その後、次の目的地の小田原城を目指す。

 その車の中で、ふと、前に言われた言葉を思い出した。

 魂を削りながら生きていると、2人か3人に言われたことがある。同じときではなく、別の場所で全く違うときにだ。

 今は言われた頃とは違うと思う。それでも、様々なことがある度に、もしかして、自分の魂は少しずつ削れたりもしているのだろうか?

 誰かとの関りで、苦しんだことももちろんある。それでも、誰かを深く憎むような状況には、自分は陥ることがなくて良かった。

 そんな風になった人の状況も知らないし、環境も知らない。だから、自分はそこまでのひどい状況に、合ってこなかっただけなのかもしれない。

 神様がいるのなら、そういう厳しい生い立ちや環境にある人が、少しでも前を向けるようにしてほしいと思う。

 案外、スカイダイビングでも体験したら、少しすっきりするかも? なんて、思ってみたり………。

 怖いものも見たけれど、神場神社は、やっぱり神秘的な雰囲気を持っていたと思った。そんな神秘的な空気が、前に言われたことを思い出させたのかもしれない。あの頃の自分は、その言葉に妙に納得をしてしまったのだから。

 魂を削りながら生きていたかもしれない自分。魂が削れたのなら、その分、寿命も縮まっただろうか? 別に長生きをしたいと思ったことは、今まで1度もない。だから、問題はない。

 魂と呼べるものがあるのなら、今の自分の魂はどれくらい削れているのだろう? 削れた分は? 

 もしも本当に削れているなら、その削れた部分は、この地球の大気に溶けこめればいい。そして、優しい風となれたらいい。そんな感覚が、自分の中にはずっとある。

 最も、自分には何の力もないし、自分だけで精一杯だったりするときも多々ある。でも、もしも何かできたらと、つい思ってしまった。

ここまでが小説風のものです

厄切り神社は、数百年以上の歴史を持っています。

今回自分が行った神場山神社の歴史は、約1000年前の平安時代中期にさかのぼります。

その当初は、山仕事をする『きこり』たちが参拝していました。

700年ほど前から、仕事道具の奉納が始まり、時代と共に、戦の無事や病気・厄除けの祈願が増加していきました。

そんな中で、奉納物は、仕事道具からハサミへと変わっていったそうです。

今回、自分は交通安全のお守りと、ハサミのお守りを購入しました。

神社の鳥居には、神域と属性を分ける重要な象徴があります。故に、くぐる前には一礼をした方がいいそうです。

その鳥居の由来もいくつかあります。

  1. 神話由来説→天照大御神の天岩戸隠れの際に、鳥を止まらせた木
  2. 国内起源説→日本古来の冠木門が発展したものとする。
  3. 外国起源説→インドのトーラナや中国の華表、朝鮮半島の紅箭門など

神社の鳥居は少なくとも、奈良時代には存在していたことが分かっているそうです。とても古い歴史ですね。

神場山神社/ハローナビしずおか 静岡県観光情報

神場山神社(じんばやまじんじゃ) – 【公式】御殿場市観光協会

長い歴史を持つ神社。その分、人の様々な思いも、その中に立ち込めているのかもしれません。

最近不運だと思ったりして、厄切り神社に行くのは良いと思います。

どうしても縁を切りたい相手がいて、行くのも仕方がないことです。それで少しでも前向きになれるならいいと思います。

でも、厄切り神社は誰かを呪う場所ではありません。人を呪わば穴二つと言う様に、誰かを呪って自分が幸せには、なりにくいと思います。それより、呪いたいほど憎い相手がいるなら、そこから全力で離れてください。そうしてほしいと、自分は思います。

多くの人が少しでも前向きになれますように・・・

タイトルとURLをコピーしました