流星群

人生行動記

 昨年は結構見に行った流星群。でも、今年は行くことができていなかった。そして、最後の12月にやっと流星群を見に行く。

 場所は奥多摩湖だ!

 本当は、13日の晩から14日未明が一番流星を観察しやすい時間帯だが、今回は12日の晩という、1日早めに行くことになった。理由は、天気だ。

 昨年、せっかく流星群を見に奥多摩湖まで行ったが、雲が多くて見えなかったことがあった。

 今回は、15日は満月だから、更に見えにくいということもある。

 この選択が吉と出るか、凶と出るかわからないが、仮に流星群を見ることができなくても、それもブログに載せる方がいいと、前にNさんに言われた。見ることができない人の共感を得られるかもしれないとのこと。ちなみにNさんは、唯一このブログを書いている自分の顔や本名を知っている人物だ。

 奥多摩湖へは、日付が変わる辺りを目指す。だから、それよりも数時間前に出なくてはいけない。

 自分が運転する車の中では、IとAが座席で寝ている。途中まではこの二人は起きていたけど、割とすぐに寝てしまった。Aなんて、自分が迎えに行く直前まで家で寝ていたらしい。それなのに、今も更に眠っている。

 去年はUもよく一緒に行ったけど、明日Uは朝早いとのことで来なかった。

 今、空に雲はほとんど見えない。これで新月のときなら、絶好の流星群観察日だったはずだ。

 睡魔が襲ってきた時用に、キシリトールのガムと、ミンティアの刺激の強めのやつを持ってきている。あと、あたりめだ。眠くなったら、とにかく刺激を与えたり噛むしかない。

 車で流している音楽を口ずさみながら、今はまるで眠くないけど、あたりめを時々噛みつつ、奥多摩湖までの道を車で走る。

 奥多摩湖のいつもの観測地へ着くと、二人を起こした。

「着いたよー。さっさと車を降りてくれ」

「えっ? もう着いたの」Iは爆睡していたらしい。そもそもIは、昼間でも車ではよく眠っていることが多い。

「なんか、腹痛い」

Aはそう言うと、さっさと車を降りて、トイレへと走り出した。どうやらお腹を下していたらしい。

 Iは自分よりも早く車を降りた。自分は、眠くならない為に、上着とかを脱いでいたから、それらを着込む。外の気温は1度みたいだった。

 車には、膝掛けをいくつか持ち込んでいたから、それも1枚持っていく。Iは既にひざ掛けを持っていっていた。それと、出がけに適当に持ってきたシートも持っていく。

 今までよりも、停まっている車は少なかった。片手で数えることができるくらいだ。自分は、月明かりと反対側の方を向ける様にシートを広げる。

 あ、このシートこんなに小さかったっけ?

 持ってきたシートは、意外に小さかった。二人くらいが寝転がれるくらいだったけど、まあ、いいかと思ってその上にとりあえずに転がって、足元にひざ掛けを掛ける。

 直ぐにIが自分のところに来た。

「あ、いいな。でも、それ1人しか使えないじゃん」

「2人までならいけるよ」

 自分はそう言いながら、少し体を端にずらす。すぐにIが隣に寝転がりだした。

 お互いにほとんど無言で、写真を撮ったり空を眺める。

 少しすると、Aがやってきた。

「なんか、寝転がっている変な人がいると思ったらCとIか」

「そうでした~! 少ししたら変わってあげるから、Aも寝転がった観察すれば」

 Aの言葉に、自分はそう答えた。

「いや、いいや。まだ少し腹痛いから、少ししたら車に行くわ」

「そうなの? 大丈夫か?」

 IがAを心配してそう言った。

「最近全然出ていなかったけど、すごい出た。でも、まだなんかな」

「ああ、なるほど。じゃあ、車行くとき声かけて。鍵渡すから」

 Aはよく便秘がちになるみたいだ。しかし、あんな薄暗くて雰囲気のあるトイレで、よく出るなと自分は少し思った。初めて夜にここに来た時に、トイレを覗いたことがあったけど、「怖!」と皆で言っていたのを覚えている。あのときは、Aもそう言っていたけど、今は平気なのか、それほどの緊急性があったのか。

  携帯のカメラを覗いて写真を撮ろうとしていると、流れ星が流れていた。前に観た時よりも、明らかに光が薄かったが、流れ星だった。

「あ、今流れた!!」

「本当? 気がつかなかった」

 隣のIは気がついていないみたいだった。少し離れたところにいるAも同様に気がついていないみたいだ。

 しかし、画面越しに見たからそこまで嬉しい気がしなかった。おまけに流れている瞬間を撮影できたわけでもない。

 自分は、少しの間、携帯を構えるのをやめにして、空をじっと眺める。でも、そういうときに限って流れ星は現れてくれない。

「やっぱ、車戻るわ。鍵貸して」

 Aが自分にそう言ってきた。

「流れ星見えた?」

「うん。1回だけ」

「良かったね」

 自分はそう言って、Aに車の鍵を渡した。

「ちょっとさ、移動しない? 写真としてはこれもいいけど、もう少し開けたところにしよう」

 月明かり以外のことは何も考えずにシートを広げた。頭になっているところの上には木があって、写真にはどうしたって木の枝が入り込んでいた。

「うん、いいよ。移動しよう」

 Iの言葉に自分は頷いて、すぐ近くの視界が開けているような場所に移動して、再びシートを広げて横になる。

「あ、良い感じの写真が取れそうだったのに、車のライトが邪魔した」

 Iが少し悔しそうにそう言った。

 時々車がやってきて、そのライトが観察を邪魔するが、自分たちも同じ様に他の人の観察の邪魔をしてここへ到着をしている。

「まあ、仕方がないな」

 そのまま少し空を眺めたり、写真を撮ったりしてから、自分は立ち上がった。Iは何も言わずにそのままシートの上に転がっている。

 自分は、今度は寝転がっていては撮れない場所を撮るために、辺りを見回した。月が随分と満ちてきている。普段、生活をしている場所から見る月と、奥多摩湖で見る月とでは、また見え方が違って見える。

 自分はその月も写真に撮ってみるが、まるで太陽のように明るく写った。それもそのはず、星を撮るため使用にカメラの設定がなっているからだ。

 それにしても、携帯でもかなり綺麗に撮れるが、こういうときは一眼レフのカメラでもあればもっと見たままを撮れただろうに、と思った。もちろん技術も必要だけど。

 ちにみに、以前に一眼レフのカメラを少しだけ持っていたことがあった。一時的にカメラにはまっていた友人が、新しいカメラを買う時に、おさがりにくれたのだ。しかし、自分はこともあろうに、そのカメラをネパールのバスの座席の下に置いてきてしまった。見つかるはずなんてもちろんない。ちょっとカメラの勉強をしようかなと思っていた矢先だったから、ものすごいショックだった。以来、一眼レフのカメラを手にしたことはない。

 携帯のカメラの光を少し調節して、もう1度月を撮ると、今度はそこまで明るくなく撮ることができた。

 太陽の光を受けて輝く月。月は、自身では光を出せないけれど、本当に綺麗に輝くことができる。そして、太陽は直接見ることはできないけれど、月は直接見ることができる。その引力にいつも引っ張られてしまう気がする。

 太陽と、月と、他にも様々な状況が合わさってこの地球には生物が誕生している。月が今無くなったら、環境変化が起こり、人は地球に暮らすことがかなり難しくなってしまう。月は、地球をいろんな隕石などから守る盾にもなってくれている。

 少しずつ離れていっている月。自分が生きている間に、月が地球から完全に離れることはないだろうけど、ほんのわずかでも、月が離れていくことに寂しさを感じてしまう。

「I、そろそろ帰ろうか。Aも待たせているし」

 自分はIが寝転がっているところへ戻って、Iに声をかけた。

「なんだか、気持ちよくて寝てしまいそうだ」

「それ、やばいから! 凍死するって」

 既に写真を撮らずにうとうとしていたIを立たせて、自分はIと共に車へと戻った。ここから、また数時間の運転が始まる。あたりめは全部食べてしまったから、今度はガムでも噛むかと思いながら、エンジンをかける。

 すぐに車のライトが点灯する。まだ流星群の観測をしている人がいる。自分は、なるべく急いで、その場から離れた。

ここから流星群の説明を少しします。

きっと昔は、流れ星はそのままの星が流れているものと思われていたでしょう。でも、実は違います。

知らない人には夢を壊すようで申し訳ないのですが、自分たちが見ているものは、宇宙から地球の大気圏に突入した小さなチリです。

そのほとんどは、彗星が軌道上に放出したものです。

ものすごい速さ(秒速数10キロ)で地球にぶつかってきます。それは地球の大気にとってすごい衝撃波となります。あまりにすごい衝撃波なので、そこは数千度という高温になります。そんなにすごい高温なので、流星物質であるチリは溶けて蒸発してしまいます。その周りの大気と共にプラズマ化状態になります。

    プラズマ化とは:原子や粒子の活性がとても高くて、周囲の物質といろいろな化学反応を起こ  し、それらが安定状態に戻るときに特定の波長の長い光を放出することです。

つまり、原子や分子の励起状態(れいきじょうたい)から基底状態に戻る際にエネルギーを光として放出するので、その光が流れ星となって確認することができるのです。

    励起状態:外からエネルギーを受け取ることにより、高いエネルギー状態になること。

    基底状態:最も低いエネルギー状態。

宇宙の神秘ですね。

でも、こんな原理を知らない方が、もしかしたら楽しめるのかもしれません。

流れ星に願いをと言いますが、これは結構難しいものがあります。流れ星が見えるのはほんの一瞬だからです。

原理を知ってしまうと、せっかくその一瞬にした願い事も空しく感じるかもしれませんが、自分はこう考えます。

まず、その一瞬に願いができるほど強く思っているなら、叶う力がそもそもその人にあるということ。それと、ものすごいエネルギーの神秘なので、そのエネルギーがもしかしたら、願い事にいい方向へ作用してくれたり………なんてことがあればいいですね。

今回、自分は5つくらいの流星群を見ることができました。月明かりがあったので、光は全部薄めでしたが、それでもちゃんと確認ができました。残念ながら写真には取れませんでしたけどね。

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